【ダブルタイヤのプレロードもガッツり解説!】FB511B キャンター・ガッツ 車検整備
今回はキャンター・ガッツFB511Bの車検整備についてです
皆さん大好きダブルタイヤの車検整備です^ ^
目次
臆するな! トラック(大型除く)の整備は意外とノーマル!?
トラック自体は1年車検の貨物登録が多いので、「自社の管理車両前提」であれば交換部品が多数あったりとか必要整備箇所が多かったりといった事は弊社ではあまりありません
前回の整備担当者が見落としていたり・チョンボ等なければ一般的な乗用車の1年点検とさほどやる事は変わりません。
- 外観のチェック(積載ステッカーや積載物、あおり等)ワイパーやガラス関係
- 灯火装置の点灯状態や割れ、リフレクターの確認 警告灯関係
- タイヤの状態・足回りのガタ付きの有無
- エンジンルームの消耗品の確認・定期交換油脂の洗い出し
- 下廻りの状態・液体関係の漏れ、にじみ
- ダストブーツ類の状態、グリスニップルの給油
↑大体こんな感じかと思います。小一時間あれば見れるかな?
Vベルトの交換でもキャビンを上げて作業するので、まぁまぁスカスカです
トラックの醍醐味であるダブルタイヤの脱着とドラムブレーキが知識と経験の要る部分かと思います
トラックのタイヤの締め付けトルク不足は年々整備振興会で取り上げられています。自動車検査員講習や整備主任者講習に行けば、講習の7割はトラックのタイヤ関係についてです。残りの3割はリコール関係(笑)
タイヤメーカーの営業マンもトルクレンチを使った事がないと過去に聞いてビックリしました(^^;;
気をつけるところと言えばリアドラムブレーキのプレロードですね
プレロードとは、予めトルクをかけておくといった意味だそうです
要はドラム内のテーパーになっている内側と外側のそれぞれのベアリングの位置を正しい位置にしてやる方法で、そのままトルクをかけた状態で締結してしまうとベアリングが回転した際に熱を持って焼き付いてしまうのです
車検から車検の間(1年間)にベアリングが焼けてしまわぬ様にしっかり整備しましょう(^^)/
リアドラムのメンテナンス(オイルシール外し、ベアリング給油)
こちらはリアアクスルシャフトを抜いたところです、ダブルタイヤに不慣れな場合は外す前に写真を撮る事をお奨めします
今回の入庫まで大丈夫だったので、同じ様に復元するためですね 修理書などない場合も有効と思ってます
アウターベアリング(外側)等を外すとドラムが外れます この金色に見えるオイルシールを抜いてインナーベアリング(内側)を外します
それからドラム内にある古いグリスを新しいグリスに入れ替えてやります
内側、外側のベアリングに新しいグリスを注入してやって復元していきます。グリスを注入する専用工具があれば容易ですが、なければグリスまみれ確定です(;’∀’)
内側のベアリングを戻して新しくオイルシールを打ち直すのですが、これが少々時間がかかります^^; オイルシールの外径に合う金属のアタッチメントがあれば速いのですが、大体ないのが現状ですので、ハンマーとエクステンションバーを駆使して挿れ込みます笑 ※修理書ではSSTを使う様になっているハズです
打ち込んだオイルシールのリップ部にはグリスを塗布して下さい
そこをクリア出来たらドラムを組んで行きます
アウターベアリングを挿れてシムみたいなのを挿れてナットを締め付けていきますね ここからプレロードに入りますよ〜!
本来はこの締めつけもSSTで規定トルクで行いたいところですが、おそらく先人の方々はマイナスドライバーの貫通タイプでドラムが回らなくなるまで叩いて締め上げた様な跡が残っているので、同じ様にやります(^^;;
リアドラムのプレロード解説 参考画像あり
参考までにどうぞ
画像赤線は無視してください、すいません。11番がロックナットとなってますねこれがプレロード(予め締める)する部分です。 1回目のプレロードトルクは10〜13kgmですので【約98N.m〜約127.5N.m】で締め付けた後、手で回るくらいに緩めてから2〜3kgmですので【約19.61N.m〜約29.42N.m】との事です
まとめると
- ロックナットを約128N.mで締め、ドラムを何回か手で回してベアリングを落ち着かせる
- 手で回るくらい緩めて、再度ドラムを何回か手で回してベアリングを落ち着かせる
- 仕上げに20〜30N.mの間ででロックナットを締めて、回り止めボルトを入れて完成
こんなイメージでプレロード調整して頂けたら大丈夫かと!
お次はアクスルシャフトの取り付け面を清掃して液ガスを塗ってトルク締めでオッケー こちらは意外にも64N.mと高トルク(;’∀’)
前・後ろタイヤ 規定締め付けトルク(参考画像あり)
残るはタイヤ前後の規定トルクです。 以前の様に「インパクトでこれくらいだろうパリパリ♪」では恐ろしくて整備完了できませんしね(-_-;)
こいつは 前タイヤ→13.5〜16.5kgmですので約132.4N.m〜約162N.m 約30N.mも差がある、、、
後輪→17〜23kgmですので約167N.m〜約226N.mだそうです 約59N.mも差がある、、、
今回の感想・まとめ
いかがでしたか? 謎の多いダブルタイヤ・ドラムブレーキのプレロード調整ありの内容です。 タイヤ締め付けトルクに幅があるのが気になりますよね(^^;;
てな感じでトラックの車検は終わります やはり部品が大きいので重いですね^^; 毎日はキツいと思います^^;
参考になれば幸いです
今回もご覧頂きありがとうございました!
整備士歴12年。某ディーラーにて12年ほどお世話になり、現在は陰ながら業界を支持する日々を奮闘中。低年時時代にブログ等にて知識を得た経験から、同じ様な悩みを抱えた人達の役に立てたらとの思いで情報を発信しています。